院長の曽束です。
前回のコラムで、私が現在「JSAPS(日本美容外科学会)」の専門医申請に向けて、過去の手術記録や書類の山と格闘しているお話をさせていただきました。
本日は少し専門的でマニアックなお話になりますが、皆様が美容クリニックを選ぶ際に、ご自身の手で「安全で確かな技術を持つ医師」を見極めるための、重要な知識をお伝えしたいと思います。
実は、日本の医療界には「日本美容外科学会」という全く同じ日本語名の学会が、2つ存在しているのをご存知でしょうか? 英語表記にすると「JSAS」と「JSAPS」という違いがあり、その成り立ちと「専門医」になるためのハードルには、明確な違いがあります。
JSAS(ジェイサス)とは?
一つ目は、英語で「Japan Society of Aesthetic Surgery」の頭文字をとった「JSAS(ジェイサス)」と呼ばれる学会です。
こちらは歴史的に、形成外科以外の様々な科(内科、一般外科、麻酔科など)から美容医療を志して転科してきた医師たちが中心となって作られた学会です。日本の法律では医師免許があれば何科でも標榜できるため、大学卒業後にすぐ美容外科に入職し、技術を磨いてきた先生方が多く所属しています。門戸が広いため会員数が多く、最新のトレンドを取り入れた治療の普及などに広く貢献しています。
JSAPS(ジェイサップス)とは?
もう一つが、私が現在専門医の申請を行っている「JSAPS(ジェイサップス)」です。 英語で「Japan Society of Aesthetic Plastic Surgery」と表記され、名前に「Plastic(形成外科)」という言葉が入っているのが最大の特徴です。
こちらは、火傷やケガ、先天異常、がん切除後の再建などを扱う「日本形成外科学会」から派生して誕生した学会です。そのため、JSAPSの最大のルールは「形成外科の専門医でなければ、美容外科の専門医になれない(審査すら受けられない)」という非常に厳格な条件にあります。
JSAPS専門医が保証する「見えない土台」の強さ
美容医療における最大の使命は「徹底した安全性の確保」です。
人間の皮膚の下に、どのように神経が走り、どのように血管が巡っているか。その緻密な解剖学を骨の髄まで知り尽くし、万が一の合併症が起きても自らの手で確実にリカバリーできる「再建の力」を持っていること。 それこそが、健康なお顔にメスを入れる美容外科医が持つべき必須のパスポートだとJSAPSは考えており、だからこそ「形成外科での厳しい修練」を大前提としているのです。
ぶっちゃけ、資格の証書が手術をするわけではありません
ここまで、学会や資格の重要性について語ってきました。 私自身も、形成外科専門医や、後進を指導する形成外科領域指導医など、いくつかの資格を持っています。しかし、あえてここで私の「本音」を申し上げます。
「資格さえ持っていれば、絶対にちゃんとした治療ができるのか?」と問われれば、答えは「NO」です。
壁に飾られた立派な認定証が、メスを握ってくれるわけではありません。 実際の診療や手術において最後に問われるのは、資格を取得する過程で血の滲むような思いで培ってきた「本物の解剖学的知識と技術」であり、そして何より「目の前の患者様にとって何が一番良い選択か」を一緒に悩み抜き、時には『手術をしない』という提案もできる「医師としての誠実さ」です。知識や技術があっても、この誠実さが欠けていれば、本当に患者様を幸せにする美容医療は提供できません。
ではなぜ、私がわざわざ書類の山と格闘し、さらに厳しいJSAPS専門医という資格に挑んでいるのか。 それは、資格そのものをひけらかしたいからではありません。数あるクリニックの中から、患者様が当院を信じてドアを叩いてくださるための「最初の安心の材料(客観的な安全の証明)」として、最低限ご用意しておくべき礼儀だと考えているからです。
プロフィール欄を「ものさし」にして、最後は対話で
これから美容クリニックを探される際は、ぜひホームページの医師のプロフィール欄を開き、「形成外科専門医」や「JSAPS」といったキーワードがあるかどうかを、ご自身を守る一つの「客観的なものさし」にしてみてください。
そして、その基準をクリアしたクリニックを見つけたら、実際にカウンセリングに足を運んでみてください。 その先生が、ご自身の悩みにどこまで真摯に向き合ってくれるか。リスクやデメリットも含めて、誠実に説明してくれるか。最後はぜひ、ご自身の目と心で「信頼できる伴走者」を見極めていただきたいと思います。
当院も、その候補の一つとして選んでいただけるよう、資格という客観的な証明と、患者様に寄り添う誠実さの両方を磨き続け、皆様をお待ちしております。









Google map
