院長の曽束です。
「目の下のクマが気になって……」 当院のカウンセリングで、毎日必ずと言っていいほどお伺いするお悩みです。疲れて見えたり、実年齢より老けて見えたりと、本当に厄介な存在ですよね。
ところで皆様、この目の下の「クマ」という言葉。一体どこから来たのか、語源をご存知でしょうか? 目の周りが黒い動物の「熊(クマ)」に似ているから……と思われがちですが、実は違います。
本日は、少し視点を変えて「言葉の語源」から、目の下のクマの正体と、正しい治療法について紐解いてみたいと思います。
歌舞伎の「隈取」と、美容の「クマ取り」
目の下のクマは、漢字で書くと動物の熊ではなく、「隈」と書きます。
日本の伝統芸能である歌舞伎に、顔に独特の線を描く「隈取(くまどり)」というメイク技法がありますよね。実はお顔にできるクマも、これと全く同じ言葉なのです。
この「隈(くま)」という漢字を辞書で引くと、「光が届かず、暗く陰になっている部分。物のかげに隠れて見えない所」と書かれています。
歌舞伎の隈取は、顔の血管や筋肉の「凹凸」を大げさに描き出し、顔に意図的に人工的な「隈(影)」を作ることで、役柄の怒りや凄み、恐ろしさを強調するメイクです。つまり、顔に「隈(影)」ができると、人は険しい表情に見えたり、疲れて見えたり、年齢を重ねた重み(老け感)が出てしまうということです。
ちなみに、歌舞伎の世界では顔に影を“描く”ことを「隈取(くまどり)」と言いますが……私たち美容医療の世界で「クマ取り(くまとり)」と言えば、もちろん全く逆。顔にできてしまった不要な影を“無くす(除去する)”治療のことを指します。 同じ「くまとり」という響きなのに、意味が真逆になるなんて、なんだかクスッとしてしまいますよね(笑)。
私たちが「目の下のクマ」と呼んでいるものの正体は、色素の黒さではなく、まさにこの「光が届かずにできている『影(隈)』」なのです。
語源が分かると、「黒クマ」の構造がよく分かる
実はこの語源、形成外科専門医の視点から見ると、目の下の構造をこれ以上ないほど正確に言い表しています。
多くの方が悩まれているクマの正体は、加齢などで目の下の脂肪(眼窩脂肪)がぽっこりと前に押し出され、そのすぐ下にある骨のフチ部分が凹むことで生じる「黒クマ(影クマ)」です。
膨らみ(山)があり、その下に凹み(谷)がある。 上から光が当たると、谷の部分には当然「光が届かず、暗く陰になる部分」ができます。これがまさに、顔の上にできた「隈」です。
皮膚自体が黒く変色しているわけではないため、いくら高級なアイクリームを塗っても、コンシーラーを厚塗りしても、この「立体的な影」を完全に消すことはできません。
「影(隈)」を消すための、一番理にかなった治療法
さて、クマの正体が「膨らみと凹みによる構造的な影」だと分かると、どのような治療が必要なのかが自然と見えてきます。
もし、山の部分(膨らんだ脂肪)だけを単に切り取って捨ててしまったら(単純な脱脂)、どうなるでしょうか? 確かに山はなくなりますが、元々あった谷(凹み)はそのまま残るか、さらに深く窪んでしまいます。これでは、新たな影(隈)を生み出してしまうリスクがあります。
だからこそ、当院では単に脂肪を取るだけの手術は推奨していません。 膨らんだ部分の脂肪を切り取るのではなく、そのまま下の「凹み(谷)」へ移動させて平らに敷き詰める「ハムラ法(眼窩脂肪移動術)」をご提案しています。
山を崩して、谷を埋める。 目の下をフラットな状態に再建することで、物理的な段差がなくなり、光が均一に当たるようになります。つまり、歌舞伎の隈取のように強調されていた「影」そのものが、根本からスッと消えてなくなるのです。
言葉の成り立ちと、解剖学的な構造の真理が見事に一致している。形成外科医として、とても興味深いことだと感じます。
コンシーラーで隠せない「隈(影)」にお悩みの方は、決して自己流でマッサージなどをせず(摩擦で本当に皮膚が黒ずんでしまいます!)、まずは一度、構造から根本的に治す専門医にご相談ください。 あなたのお顔に光を取り戻すお手伝いをさせていただきます。
【ハムラ法(眼窩脂肪移動術)の治療概要】
施術名: 表ハムラ法(下眼瞼切開・眼窩脂肪移動術)/ 裏ハムラ法(経結膜的眼窩脂肪移動術)
費用の目安:
表ハムラ法:通常価格 495,000円(税込) / モニター価格 346,500円(税込)※麻酔代込み
裏ハムラ法:通常価格 385,000円(税込) / モニター価格 269,500円(税込)※麻酔代込み
主な副作用・リスク: 腫れ、内出血、痛み、結膜下出血、創部赤み、一時的な感覚鈍磨、ドライアイ、左右差、稀に眼瞼外反(あっかんべーの状態)や眼瞼内反等
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