院長の曽束です。
日々の診察の中で直面する「まぶたの治療における適切な術式選択」と「医療機関としての在り方」についてお話しさせていただきます。
「保険診療か、美容外科か」のジレンマ
「知人や家族が保険診療(眼科など)で眼瞼下垂の手術を受けたけれど、見栄えが少し不自然で……。自分はああなりたくないから、美容外科で自分の眼瞼下垂を治したい」
診察をしていると、このようなご相談を耳にすることが少なくありません。
「まぶたの機能回復(視野を広げること)」を最優先とする保険診療の手術では、どうしても「見た目の自然な美しさ」という観点が二の次になってしまうケースがあります。
(▼ 保険診療における仕上がりの問題については、以前のコラムでも詳しく解説しています) 関連コラム:「保険の眼瞼下垂の手術は、目の形を適当にされる」って本当? https://sygnus.clinic/column/%e3%80%8c%e4%bf%9d%e9%99%ba%e3%81%ae%e7%9c%bc%e7%9e%bc%e4%b8%8b%e5%9e%82%e3%81%ae%e6%89%8b%e8%a1%93%e3%81%af%e3%80%81%e7%9b%ae%e3%81%ae%e5%bd%a2%e3%82%92%e9%81%a9%e5%bd%93%e3%81%ab%e3%81%95%e3%82%8c/
その結果を身近で見て、「保険の手術=不自然になるのでは」と不安を抱き、美容クリニックの門を叩く患者さんの心理は非常によく理解できます。
しかし、ここには注意すべき点があります。
患者さんの状態に応じた「根本的な治療提案」の重要性
先日ご相談に来られた患者さんは、上眼瞼(うわまぶた)が大きくかぶさり、まぶたを上げる筋肉の働き自体が弱まっている状態でした。 しかし、他院では「全額自費での眉下リフトと埋没法のセット」を提案されたとお話ししてくださいました。
まぶたの開きを根本から改善するためには、「挙筋前転法(きょきんぜんてんほう)」という、まぶたを開ける筋肉そのものを修復する基本手技が必要です。 筋肉へのアプローチを行わずに表面的な施術を組み合わせても、根本的な機能回復にはつながりにくいため、なぜその提案になったのか疑問が残る症例でした。
医療において最も重要なのは、「提供できる施術」に患者さんを合わせるのではなく、「患者さんの解剖学的な状態に最も適した術式」を正確に見極めて提案することです。万が一、自院で最適な治療の提供が難しい場合は、適切な医療機関へご紹介することも医療人としての大切な役割だと考えています。
まぶたの手術に臨む外科医の責任
私は、外科医として「自分の手術が常に100%、何一つトラブルなく完璧にいく」と驕るつもりはありません。全力を尽くしますが、人間の体を扱う以上、医療に絶対はないからです。
だからこそ最も大切なのは、解剖を深く理解した上で手術を行い、「起こりうるトラブルを事前に想定して回避すること」。そして、「万が一の際にも責任を持って誠実にリカバリーできる技術を備えていること」です。
私は、年間数百例の眼瞼手術を行う関西の病院で約7年ほど勤務してまいりました。また、他院眼科からの依頼を受け、眼瞼下垂の手術を担当する非常勤医師として週に1回執刀に赴いていた経験もあります。
こうした経験の積み重ねがあるからこそ、機能の回復も見た目の美しさも、高い水準でご提案できると自負しております。
「機能」と「美しさ」の両立を目指して
まぶたの手術は、お顔の印象だけでなく「目の開きやすさ」という一生の機能を左右する大切な治療です。機能か、美しさか。そのどちらかを諦める必要はありません。その両立を追求するのが、私たち形成外科専門医の役割です。
他院でのご提案に疑問や不安を持たれた方や、ご自身のまぶたに本当に適した治療を知りたい方は、セカンドオピニオンを含め、どうぞ安心して新潟・万代のシグナス形成外科美容外科クリニックへご相談ください。
専門医だからこその「ドライな判断」をご容赦ください
形成外科専門医、そして日本美容外科学会(JSAPS)認定 美容外科専門医という2つの専門医資格を持つ立場上、私は診察の際、「保険適応の挙筋前転法が適切なのか」「自費の眉下リフトや他の施術が適切なのか」を、医学的根拠に基づきかなりドライ(客観的)に判断させていただきます。
無理な営業トークや、患者さんにおもねるような曖昧な提案は一切いたしません。 お悩みの原因に対して「何が一番の近道か」を忖度なくズバッとお伝えしてしまいますが、大切な目元を守るための専門医のこだわりとして、どうぞご容赦ください(笑)。
【当院における保険診療と自費診療の厳格な基準について】
なお、診察の結果、眼瞼下垂の「保険適応基準」を満たさない状態(機能的な問題ではなく、主に美容的な改善を目的とする場合)であれば、自費診療(美容外科手術)でのご案内となります。
眼瞼下垂の保険適応につきましては、全国一律の明確な数値基準が定められているわけではありません。だからこそ当院では、医学的根拠と機能障害の程度に基づき、独自の基準にて厳格に判断を行っています。
保険適応の対象とならない症例を不適切に保険診療として扱うことは、公的な医療保険制度の趣旨に反する行為となります。医療機関として法令と倫理を厳守し、公正で誠実な診断をお伝えすることも、患者さんに対する大切な責務であると考えております。
【眼瞼下垂症手術(保険診療)の治療概要】
- 治療内容: まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋など)を縫い縮め、目の開きを改善する日帰り手術(挙筋前転法など)
- 費用の目安: 保険診療(3割負担の場合):両目で約45,000円〜50,000円程度 ※事前の採血検査代、初診・再診料、術後のお薬代などが別途かかります。
- 治療期間・回数: 手術は1回。その後、約1週間後の「抜糸」と、数ヶ月間の「経過観察」のための通院が必要です。
- 主なリスク・合併症(副作用): 手術には以下のリスクが伴いますが、形成外科専門医が解剖学的知識に基づき、これらを最小限に抑えるよう極めて丁寧に手術を行います。
- 腫れ・内出血: 術後1〜2週間程度は特に目立ちます。自然な状態(完成)に落ち着くまでには、3〜6ヶ月程度の時間が必要です。
- 左右差: 元々の骨格や目の形、筋肉の強さなどにより、術後にわずかな左右差が生じる場合があります。
- 低矯正・過矯正: 目の開きが足りない、あるいは開きすぎるといった状態になることがあり、稀に再調整(修正手術)が必要になる場合があります。
- 閉瞼不全・ドライアイ: 術後しばらくの間、目が完全に閉じにくくなり、目が乾きやすくなることがあります(多くは時間経過とともに徐々に改善します)。
- 傷跡・二重ラインの変化: まぶたに切開の線(傷跡)が残ります(時間の経過とともに白く目立たなくなります)。また、元々の二重の幅や形が変化します。
- その他: 痛み、違和感、感染症、血腫などのリスクがゼロではありません。術後のアフターケアまで責任を持ってフォローいたします。









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